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政策と提案
2018/06/25 更新
6月議会に提出された議案及び諮問について6月25日、討論をおこないました。



2018年6月定例会 討論原稿

2018年6月21日 井上昌弘

日本共産党奈良市会議員団の井上です。会派を代表して討論を行います。

議案第67号 平成30年度一般会計補正予算(第1号)について
議案第71号 奈良市税条例等の一部改正について
及び
議案第74号 奈良市消防団員等公務災害補償条例の一部改正について
以上3議案に反対します。

議案第70号 奈良市手数料条例の一部改正について
及び
諮問第1号  使用料の徴収等に関する処分についての審査請求にかかる諮問について
以上2議案には意見をつけて賛成します。 

残余の議案については賛成します。以下理由を述べます。

 

反対議案
まず議案第67号についてです。 ( 奈良市一般会計補正予算第1号)
 この補正予算には、今年10月からの生活保護基準改定に対応するためのシステム改修経費予算400万円が含まれています。基準の見直しには、進学等準備給付金の創設など一定の前進面は含まれるものの、生活扶助費が最大で今よりも5%も引き下げられるなどマイナスの影響の方が圧倒的に大きく、生活保護を利用している皆さんの生活に関わる重大な改悪です。
さらに、最低賃金を決めるにあたっては「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と定めていることから、保護基準が最賃の大きな変動の要素になります。また生活保護基準の引き下げは他の福祉制度の減免基準にも連動し、全体の貧困化をいっそう深刻に広げることにもつながりかねません。
奈良市のケースワーカーの人数も厚労省の基準を満たしておらず過重負担となっており、十分な支援ができていないことが改めて浮き彫りとなりました。
奈良市民にとっての最後のセーフティーネットである生活保護制度の改悪を進める政府の方針に従い、それを具体化する予算を含んでいるため賛成できません。

 

なら国際映画祭開催補助金 1000万円については反対するものではありませんが、ひとこと意見を述べておきたいと思います。
 今年3月定例会、予算決算等審査特別委員会において文化振興費予算のうち「なら国際映画祭」の開催補助金2,000万円が否決となったことで、市長は取り上げ、改めて6月定例会において補正予算として1,000万円が計上されているものです。
 これまでわが党は、再三にわたって文化振興補助金交付について、毎年、補助金があることを知っている団体だけが、補助金を申請し交付されていることは問題があること、また公平・公正性・透明性に欠けることを指摘してきました。そのうえで、補助金交付要綱をつくり、上限も設定し、一般公募するというルールを設けるべきと提案もしてきました。
今回、「なら国際映画祭」の補助金を再提案するために、要綱が策定され、これの基づき審査が行われましたが、わすか2週間の期間です。なら国際映画祭の補助金ありきの形骸化された要綱策定と言わなくてはなりません。
 また文化振興計画推進委員会においても意見があがった一般公募については、時間がないために今後の検討課題として先送りされています。市民の税金を使っておこなう交付金について、公平性も透明性も示されないままの要綱となっていることは問題です。
本来は公募に向けた募集要綱と補助金交付要綱をセットでつくり、関係団体にも十分な説明を行い、公募と審査を経て予算化し、そのうえで交付すべき性格の問題です。ところが今回は3月定例会で予算を先に提案し、補助金交付要綱をそののちにつくり、しかも公募は今後の検討課題とするなど、順序がすべて逆となっています。
 他都市の文化振興補助金との比較、また新しくできた県の新しい文化補助金についての限度額が100万円であることと比べても、奈良市の1000万円は突出しており、今後はもっと慎重に検討されなくてはならないと考えます。
日本共産党は、奈良市において文化の発展の一環として、映画文化を支える活動をされている方々へ改めて敬意を表するものです。また「なら国際映画祭」などを通じて奈良市の文化の向上に資する役割を果たしていただくことを期待し、その発展を願う立場から補助金の交付自体に反対するものではありません。しかしながら今、述べたように、市民の税金は、公平・公正と透明性が担保されなくてはならないことは言うまでもなく、まさにそれは市長の姿勢が問われる問題でもあると指摘をしておきます。

次に議案第71号についてです。奈良市税条例等の一部改正について)
本議案は、今年3月28日に国会で成立した2018年度の「地方税法改正」を根拠とした奈良市税条例の一部改正案です。同法は、安倍内閣のもとで進められてきた消費税10%への増税を前提にした税制上の措置を拡充・延長しようとするものです。
しかしその内容は地域経済の牽引を口実に、一部企業のみに特化した固定資産税の減免などの経済政策を行おうとするものです。
 現在市内には法人・個人を含め12,335事業所ありますが、この改正案にいう、一定の要件を満たしたうえで固定資産税を3年間免除するというこの優遇措置特例置が活用できそうなところは60事業所程度と考えられています。わずか0.4%です。AI(人口知能)やIOTなど政府が旗を振る先端技術を導入する計画を策定するところに限られるからです。また国からの補助金や融資の面でも優遇されます。
中小企業への支援については政府誘導に特化した支援策ではなく、大企業との公正な取引ルールの確立、最低賃金を引き上げる際の国からの財政支援など、中小企業が日本経済の根幹であることを踏まえた支援策が必要です。

次に議案第74号 についてです。(奈良市消防団員等公務災害補償条例の一部改正について)
本議案は、関係法令の一部改正に伴い、奈良市消防団員等の公務災害の際の損害補償について、損害補償を受ける消防団員等に生計を委ねる扶養親族がある場合に、扶養親族加算の支給額を変更しようとする条例改正案です。その内容は、配偶者に対する加算を減額し、子どもに対する加算を増額するものです。子どもの扶養手当を増額する変更は当然のことと考えますが、配偶者手当の削減を財源としており、この措置によって配偶者手当が減るなどの問題があり、反対です。

意見を付して賛成する議案について述べます
議案第70号 についてです。
 この奈良市手数料条例改正案の根拠は2002年に成立し、2度にわたって改正された「土壌汚染対策法」です。同法は、国民の健康の保護を目的とし、土壌汚染の恐れがあると判断される土地にたいする調査等を定めるものです。
調査義務対象が限定的であるなどの不十分さがあったことから、2009年の改正で、形質変更時の事前届け出制や汚染土壌搬出時の処理業者への委託義務など規制を強化してきました。今回の法改正は規制強化に反発した経団連や産業界の要求に従ったものです。開発により市民の健康が害されることのないよう、奈良市としても十分に注意をしなければならいと意見を述べさせていただきます。

 

最後に諮問第1号についてです。(使用料の徴収等に関する処分についての審査請求に係る諮問について)
 平成13年に審査請求人の方が、水道使用料について、生活困窮による減免を申請されましたが、そのときの水道局の減免規定には生活困窮による減免規定がなく、減免申請を却下したことが、そもそもの発端です。
 平成21年に最高裁は奈良市の減免申請を拒否する理由についての不備があったとして市の上告は不受理。また減免申請却下にたいする審査請求人からの取り消し請求は「認容」の判決が確定したもので、それ以降、奈良市で生活困窮による減免規定ができたことは、画期的なことでした。
 それによって、審査請求に対し、平成21年にそれまでの水道料金の免除が承認されました。
 問題は、その後も奈良市が9年間にわたって、審査請求人の生活困窮について所得などを具体的に把握することなく、水道料金、下水道使用料、国民健康保険料、医療費窓口一部負担、健康診断費、印鑑証明、住民票の発行手数料、固定資産税等の支払の免除を認めてきたことにあります。これだけの既成事実が積み上げられたら、審査請求人が今後も免除されるものと期待するのも当然です。
  水道料金に生活困窮による減免を認めたという積極面はあるものの、10数年間という長期化は奈良市のあいまいな態度に原因があると考えます。この諮問は、奈良市として今後、他の市民にもキチンと説明できるよう、毅然とした対応をするための諮問であることは理解しますが、同時に当事者の方ともきちんと向き合って、早期の解決をするよう意見を付しておきます。

以上で討論を終わります。