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政策と提案
2021/9/28 更新
奈良市議会9月定例会 予算決算委員会 総括質疑(21年9月28日)


奈良市議会9月定例会 予算決算委員会 総括質疑(21年9月28日)

北村
日本共産党の北村たくやです。会派を代表して市長並びに関係理事者にうかがいます。

■まず、議案第89号 奈良市放課後児童健全育成事業施設条例の一部改正に関し、市長にうかがいます。
 これは、市立バンビーホームを規定する根拠条例から「右京バンビーホーム」を削除する内容で、右京バンビーホームを神功バンビーホームに統合し、ならやまバンビーホームに名称を改めるなどの条例改正案です。平城西中学校の敷地に小学校を新設し、施設一体型小中一貫校をつくる計画が強行されており、来年4月の新設校開校にあわせ、いまの右京バンビーホームを廃止するというものです。
 今回右京地区のバンビーホームを利用する保護者や住民の方々から直接話をお聞きしましたが、右京地区でこれまで「学校規模適正化計画」や「幼保再編計画」を当事者の声を置き去りに強行を重ねた市長のやり方が、当事者に深刻な傷を負わせている、その傷の深さを痛感しました。そうした問題が噴き出していると思わずにおれません。
これら計画を強行した奈良市のやり方により住民や保護者の間に深刻な分断や対立が引き起こされた事態について、議会でも大論議となりました。計画の強行で右京幼稚園は廃園に(用地は民間に売却)、右京保育園は民間委託化され、来年4月に右京小学校がなくされる。右京バンビーホームもなくなると、右京地区からは公立の学校施設・幼保施設・こども施設は全廃されます。右京バンビ保護者はその当事者としてずっと渦中におられた方々です。

●市長は、2019年7月の右京小学校保護者への説明会の場で「ここに至るまでの適正化の在り方が決して望ましいものではなかった。その点は反省している」「適正化の問題が学校や子ども、住民や幅広い方に対立感情やぎくしゃくしてしまうような感情を作ってしまった。原因者としての責任は非常に重いものがある」「右京の卒業生の方も保護者の方も地域の方も今回の適正化で本当につらい思いをしていただいていることは申し訳ない」とはっきりのべておられます。市長は自らの責任について今もその思いに変わりありませんか。端的にお答えください。

いまなお根深い行政不信が存在し、当事者に深刻な傷を負わせていることに非常に胸が痛みます。
9月21日、右京バンビ保護者および地域住民からに市長あてに要望書が提出されました。「右京バンビーホーム廃所に伴う代替措置としての学童保育サービスの検討のお願い」という文書です。市長もご覧になっていますね。そこでは以下の2点の項目の要請がされています。
右京小学校跡地での17時以降の子どもの保育を含め、右京地域における安心安全な子どもの居場所づくりと子どもの健全な育成について、地域保護者、関係者と
  1. 話し合いを継続的に行うこと。
  2. その新しい事業が開始されるまでの間の経過措置として、右京小学校跡地内に学童保育もしくはそれに代わる公的サービスを提供すること。

議員のほうにも市長に提出したということで要望書が届きました。読ませていただいて、これは奈良市の学校規模適正化計画、幼保再編計画にまさしく翻弄されてきた当事者として、保護者としてのいわば最後のやむにやまれぬ要望だとズシリと受け止めました。
先にのべた保護者への説明会の場で、市長は、右京バンビーホームの場所に新たな施設をつくることを前向きに検討すると、その場にいた保護者が受け止める発言をされています。そのための調査を行うこと。民間活用を視野に、一方で公共性の観点から同等の料金で利用できるものということまで言及しておられました。学童保育の役割は、共働き・ひとり親の小学生の放課後の生活の継続的な保障を通して、親の仕事と子育ての両立支援を保障することにあります。右京バンビーホームをただちになくすべきでないと思いますが、仮に右京バンビを廃所したとしても、せめてこの2点の要望に誠実に応えるべきです。

●市長にうかがいます。2点の要望を真摯に検討し具体化するよう市長が決断し担当部署に指示を行うこと、市長自らも当事者・保護者と直接会って話し合う場をもつこと、この点について端的にお答えください。
●市長、要望書を提出された保護者、当事者の方々と直接会って話し合う場をもっていただけますか。(市長答弁「保護者との話し合いは、教育委員会において対応する」)
今回の問題は直接的に学校規模適正化計画に端を発しています。幼保再編計画も含め、要望書を提出されている保護者は行政のこれまでの進め方にたびたび翻弄されてきた当事者であることを自覚して市長自らが誠実な対応をしていただくことを強く要請します。

■議案第99号 令和3年度一般会計補正予算(第9号)に関して、市長にお聞きします。
 これは、今回環境清美工場の焼却炉を緊急に全面停止せざるを得ない事態が起こったことにより、必要となる処理費等2億5147万3千円を増額する追加予算を緊急提案したものです。
 緊急停止した経緯をかけ足でふり返ると、8月17日、最終処分場の抜き取り検査で環境清美工場から焼却の際に排出される「ばいじん」からダイオキシン類が国の基準値(3 ng-TEQ/g)を大幅に超える数値(17 ng-TEQ/g)が検出され指摘を受けたことにより、翌18日、市が検体を採取し検査を行い、8月23日にでた結果で、国の基準値(3 ng-TEQ/g)を21倍も超える64 ng-TEQ/gのダイオキシン類が検出されたため焼却炉を緊急全面停止に。その後、焼却できないごみがピット内に溜まっていくため、ごみの区域外処理の交渉と並行して、原因の調査・点検などに追われることとなりました。

なぜこのような事態が起きたのか。市の説明は熱分解装置の不具合が主な原因としています。熱分解装置は平成14年に設置、具体的な耐用年数はなく年に一回点検をおこなっていた。不具合を予測できなかったのかについて、市の説明は「毎年の点検で異常はなく予測するのは困難だった」としています。しかし、果たして本当にそうなるのか、これまでの質疑を通じ疑義が生じます。質疑や提出資料で判明したことは、

  1. ダイオキシン類の国の基準は、あくまで3 ng-TEQ/g以下であること(資料29)
  2. 今回最終処分場から指摘を受けた数値も国基準3 ng-TEQ/g以下への適切な管理であったこと(資料32)
  3. 市が行った検査結果の直近5年間をみても、国の基準を完全に下回っているのは令和元年と2年の2年間だけ。検査結果の数値自体にもばらつきがあります。平成29年は年4回の検査すべてで国基準をオーバーする数値が検出されていたことです。(資料30・31)

今日に至る以前に熱分解装置の不具合を察知することは可能だったのではないかと考えます。
市長にうかがいます。
●すでに平成29年に異常な数値が年間を通して検出されていました。この時点で対策を打つべきだったのではないか。この時点で危機感をもち対応にあたっていれば今回の事態は回避できたのではありませんか。お答えください。
熱分解装置の検査はもっぱら三機化工1社が担っています。検査結果自体の検証はこれまでに行われていません。
●続けてうかがいます。今年度、年内を目処に実施している「奈良市環境清美工場ごみ焼却施設プラント調査業務」はこれまでに行ったことはなかったのか。
●もう1点。いくら急いでも新クリーンセンター建設および完成までには10年近くかかることになります。少なくとも10年間プラスアルファの期間、老朽化した環境清美工場の延命をはかり、同様の事態を繰り返さない対策について考えをうかがいます。
これまで老朽化した環境清美工場の延命対策について危機感が希薄であったことは否めないと考えます。基幹改修の問題は議会でも指摘されていましたが、今回の事態につながる兆候やサインはこれまでにもあり、危機意識をもってつかんでおれば今回の事態を回避する対応は早くにとれていたと思います。今回の調査業務を生かし、同様の事態を繰り返さない延命対策を優先して取り組むことを求めます。

■水道事業と下水道事業の決算について
監査委員の「令和2年度奈良市決算審査意見書」において、水道事業会計と下水道事業会計の決算について、過去に例をみないほど決算処理の問題点が指摘されています。これはすなわち、地方公営企業法や施行令、その他の企業会計のルールに抵触し、経費の負担能力のある水道事業に過大な負担を担わせる決算処理を随所で行っていたことからではないかと思います。「正しく仕訳したら会社がつぶれてしまう、ということにならないよう指導している」との企業局長の答弁もありました。
そこで今回は、決算審査意見書をまとめられた東口代表監査委員にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

  1. これまでの上下水道事業会計の決算審査意見書に比べても相当踏み込んだ内容となっていると思います。今回の意見書を出すにあたってねらいとしたことは何かをお聞かせください。
 従来から意見を述べてきたが会計処理の改善がなかなか進まないということで、今回の踏み込んだ内容になったのかと考えます。
  1. 水道事業会計と下水道事業会計の決算処理に関して、約1億円が水道・下水道の両事業会計に重複して計上(二重計上)されていると指摘があります。これは給水原価にどういう影響を及ぼすかについてお聞かせください。
重複計上で水道事業会計における総費用が本来より過大となり、それが給水原価にも反映し、給水原価が本来よりも高くなっていると説明がされました。ダブル計上を修正しない限り、給水原価を正確に把握できないという点は重要な指摘であると思います。
  1. 「正しく仕訳けしたら会社がつぶれてしまう」とあった点についてです。正しく仕訳してつぶれた例はあるのかという点をうかがいたい。また正しく仕訳することのそもそもの目的・意義についてどのような見解を持っておられるか。お聞かせください。

 わかりました。ありがとうございました。
企業局長にうかがいます。監査委員の決算審査意見書や議会でのこれまでの決算審査を通じて、企業局のこれまでの決算処理を是正する旨の言明があったと理解しています。それを確認するためにうかがいたいと思います。
・「下水道使用料徴収負担金」についてです。

 上下水道料金は検針から徴収まで一体で行われています。上下水道で2億円ずつ負担すべきところ、令和元年度まではすべて水道側が負担していました。令和2年度、下水道事業は予算としては約2億円計上していたにも関わらず、決算では1億円に減額して計上しています。

しかし下水使用料改定問題を協議した2019年1月の全員協議会でもこの徴収負担金2億円をねん出するために新たに基本料金制を導入すると答弁しています。
●予算計上していたこと、過去の答弁や監査の指摘もあることからみても、是正する必要があると考えますが、局長の見解をうかがいます。
 もう1点うかがいます。

・「水道事業会計と下水道事業会計との共通経費の費用按分の問題」についてです。
 建設企業分科会で資料請求し、令和2年度決算において、水道、下水道にかかわる共通経費である経営企画など総務部門の人件費、企業局庁舎減価償却費、システム関係等の合計、約9億8千万円のうち、9割を水道事業側が負担していたことが明確になりました。分科会において、これは2つの事業にはっきりと専属した経費の比率で共通経費を按分しなければならないとした地方公営企業法施行令第20条に反することを指摘しました。また監査委員の意見書、今年3月の包括外部監査でも指摘されています。
●法に基づいて是正する必要があると考えますが、局長の見解をうかがいます。

本日の企業局長の答弁を確認しました。
費用按分の問題は、按分の費目や基準をどうするか、それに伴う実態の把握など、次の課題がでてくると思いますが、今後の法にもとづく是正内容を確認してゆきたいと思います。
令和2年度の下水道使用料徴収負担金は、局自身の算定根拠をふまえて令和2年度に2億円の予算化を企業局が行い、議決しています。従って決算処理として上水のほうに下水から2億円の徴収負担金の支払いをせず、1億円しか行わないというのは成り立たないことは再度述べておきます。
正しい仕訳は、有用性かつ適時性をもった会計情報にもとづき、適切な経営判断を行うための基礎という指摘は、的確な指摘だと考えます。
上下水道事業会計の決算処理が是正されますと、水道事業の総費用が減少します。そうなれば、代表監査委員のご説明にもあった通り、給水原価や健全化比率にも影響を及ぼします。会計情報を正確に把握するか否かは、今後の県域水道一体化参加の判断にもかかわる問題です。早急に是正していただくよう改めて要望しておきます。