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政策と提案
2021/9/30 更新
2021年9月議会 討論原稿 確定版


2021年9月議会 討論原稿   確定版


2021/9/30 山口裕司
私は日本共産党奈良市会議員団を代表し討論をおこないます。
〇報告第64号 令和2年度奈良市・一般会計歳入歳出決算の認定について
〇報告第66号 令和2年度奈良市・国民健康保険特別会計歳入歳出決算の認定について
〇報告第69号 令和2年度奈良市・介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について
〇議案第88号 奈良市立保育所設置条例及び奈良市立学校条例の一部改正について
〇議案第89号 奈良市立放課後児童健全育成事業施設条例の一部改正について

の、5議案に反対し、
〇報告第65号 令和2年度奈良市・住宅新築資金等貸付金特別会計歳入歳出決算の認定について
〇報告第73号 令和2年度奈良市・水道事業会計決算の認定について
〇報告第74号 令和2年度奈良市・下水道事業会計決算の認定について
〇議案第87号 奈良市・子どもセンター条例の制定について
〇議案第96号 令和3年度奈良市・一般会計補正予算(第8号)
〇議案第99号 令和3年度奈良市・一般会計補正予算(第9号)
の6議案には意見を付け賛成します。残余の議案には賛成します。

以下、理由を述べます。

初めに報告第64号です。 (一般会計歳入歳出決算の認定について)
令和2年度一般会計決算は歳入・歳出とも過去最高額となり、コロナの影響が反映された決算内容となりました。我が党は、令和2年度当初予算が審議された令和2年3月議会時に、消費税10%増税による景気悪化に加え、新型コロナ感染拡大が市民生活に多大な影響を与えている状況から、不要不急の視点から予算を思い切って見直し、当初予算では1円も対策が講じられていなかったコロナ対策への緊急的な対策も含め、機動的に対応するための、財政調整基金に積戻しすることを主たる目的とした予算の組み換えを提起した経過があります。 その後、補正予算によって各種のコロナ対策が講じられたものの、多くが国の財源によるもので、感染防止対策においても事業者支援においてもまだまだ限定的なものになっています。財政調整基金については令和2年度決算を受けて、現在高は約36億円と昨年度より積み立てられていますが、まだまだ中核市比較において下位レベルで、引き続き計画的な積み立てが必要です。市民の暮らし応援という点では、防災対策や生活道路の維持補修など、市民の願いが一定反映された面はあるものの、環境破壊が大きな問題とされているリニア中間駅誘致は相変わらず推進され、ICTやRPAの推進、定員適正化計画による正規職員の削減、生活できない賃金など待遇改善が求められている会計年度任用職員制度の導入、業務の民間委託の拡大など、本来、市役所が果たすべき公的責任が縮小されてきました。また教育分野では現場の声を十分聞かず国に先駆けて導入されたGIGAスクール構想をさらに推進する取り組みがすすめられました。また地域や関係者の間に対立や分断までおきた平城西中学校区における小中一貫校建設も推し進められました。 このような点を指摘し、あらためてコロナで大変な状況にある市民の暮らしを守ることを最優先にした市政運営を求めます。


次に報告第66号です。 (国民健康保険特別会計歳入歳出決算の認定について)

国民健康保険は県単位での運用となり、奈良県全体に合わせて、奈良市の国保料は今後も引き上げられる予定となっています。しかし、国保料は現在でも高く、これ以上の引き上げは、保険料の納付が難しい方がさらに増え、制度そのものが成り立たなくなります。県全体で応能負担ができるような制度設計が必要です。 また、コロナ禍の中で保険料滞納者へも、短期保険証が発行されていますが、新型コロナウィルスの感染が収まった際に、コロナ以前のように、滞納者への短期保険証が発送されずに留め置かれる事態にならないように、これを機に短期保険証の発行はやめるべきと意見します。

次に報告69号です。 (介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について)
介護保険特別会計決算は6億円を超える黒字会計となっていますが、新型コロナウィルス感染が拡がる中で、介護サービスの給付費がさがったことが主な要因です。給付が下がったということは、要介護者に介護が提供できていないということです。コロナ禍でも介護サービスが提供できるように介護事業者に対して感染防止グッズの提供をおこなうことや、経営のきびしい介護事業所の支援策の構築が必要です。
また、3か年の初年度ではありますが、介護保険料も決して負担しやすい額ではありません。これ以上の負担は避けなければなりません。国・県と協議し負担軽減をしていくことが必要です。

次に議案第88号です。  (市立保育所設置条例及び市立学校条例の一部改正について)
 この条例は、大宮保育園と春日保育園の民間移管、富雄第三幼稚園と三碓幼稚園をすでに民間移管した富雄保育園に統合するため、それぞれ条文中から削除しようとするものです。  今回対象となっている保育園の保護者の方と奈良市との間で意見交換なども行われましたが、「どんな子どもでも預かってくれる公立の保育園はありがたい」「公立保育園の保育内容が良い」などの声もお聞きいただいたと思います。各地域にある市立保育園は、その地域で奈良市の保育責任を果たしていくうえでも、最低限必要な施設と考えます。
 また今回、厚生消防分科会での質疑では、 すでに民間移管された飛鳥幼稚園と富雄保育園の職員が他の園に異動し、一園あたりの正規職員の割合は増加していることが明らかとなりました。一方、奈良市全体の保育士の正規職員数については、退職者数が採用人数を上回っており正規雇用の保育士の人数は減少しています。つまり、民営化が奈良市全体として保育士の人数を減らすことにつながり、人件費の削減のために行われている事がはっきりと表れています。このような保育園の民営化には何の道理もありません。待機児童対策、また特別な配慮が求められる子どもの受け皿として、公立園は民営化でなく拡充こそ必要だと改めて主張いたします。

次に議案第89号です。  (市立放課後児童健全育成事業施設条例の一部改正について)
 これは市立バンビーホームを規定する根拠条例から「右京バンビーホーム」を削除、右京バンビーホームを神功バンビーホームに統合し「ならやまバンビーホーム」に名称を改める、また月ヶ瀬バンビーホームの改築に伴い、その位置を改める条例改正案です。  右京バンビーホーム廃所は、すでに強行された平城西中学校の敷地に小学校を新設し、施設一体型小中一貫校をつくる計画にもとづき、来年4月に新設校が開校するのにあわせ進められようとしています。  右京バンビーホームを廃所することに右京バンビ保護者からは、自宅や職場から新たなホームへの距離が遠くなりお迎えに間に合わないなど切実な声が出されており、来年3月末で廃所となればたちまち問題が起こります。
これまで右京地区の保護者や地域住民の反対の声をきくことなく、市や教育委員会が学校統廃合等の計画を強行してきました。その結果、右京幼稚園は廃園となり用地は民間に売却、右京保育園は民間委託化され、来年4月に右京小学校がなくされます。右京バンビーホームもなくなると、右京地区から公立の学校・幼保施設・こども施設は全廃になります。右京バンビ保護者はその当事者としてずっと渦中におられた方々です。これまでの行政のやり方が行政不信を助長し、いまなお深刻な傷を負わせており、問題の根深さがあらわになりました。 現在の右京バンビーホーム利用を望む切実な声があるなか廃所すべきではありません。
右京バンビ保護者や地域住民から市長あてに「右京バンビーホーム廃所に伴う代替措置としての学童保育サービスの検討」を要望する文書が先日提出されました。これまでの行政の計画強行で翻弄されてきた当事者からのやむにやまれぬ願いであり、そのことを重く受け止めて、せめてこの要望を真摯に検討し具体化するよう市長が決断し進めること、市長が当事者の保護者とも直接会うなど、自らが先頭にたって誠実に取り組むよう強く求めるものです。

以上が反対理由です。次に、意見を付け賛成する議案です。
はじめに報告第65号です。 (住宅新築資金等会計歳入歳出決算の認定について)
この住宅新築資金等貸付金事業は旧同和地区の人々の劣悪な環境改善を図るという目的で国の制度として始まり、1970年から1997年まで総件数で1277件、金額では約34億円の貸し付けが行われ、現在は回収のみが行われる事業となっています。決算でも現年度分で50.7%、滞納繰越分に至っては1%の回収です。貸付金の未収が続き、事業の赤字分を翌年度の回収見込み分で埋めるという繰り上げ充用の措置は40年以上にわたって続いています。
一方、事業のために行われていた起債の償還は昨年度で終了しました。また1997年に25年返済で貸し付けた最後の資金の回収期限が今年度となり、来年度からはすべて滞納繰越分の回収の事業となります。滞納繰越分の回収率が1%という状況では、いったいいつまでこの繰り上げ充用を続けるのかと思わざるを得ません。  平成17年に設立された奈良県住宅新築資金等貸付金回収管理組合は、2度の延長が繰り返され、令和6年度末までとなっていますが、延長されたこの5年間のなかで、この組合への奈良市職員の派遣も今年度で終了です。
市長は2016年9月定例会でわが党の質問に対し、「平成32年度で起債の償還が終了することなどを勘案すると、一般会計からの繰り出しによる赤字解消の必要性については市民にも説明しながら廃止ということについても具体的な検討をしていくべきと考えている」と答弁されましたが、具体的に検討された形跡はありません。 この事業は土地開発公社と並んで、奈良市の過去の負の遺産のひとつです。市債償還の終了、現年度分の請求の終了、職員派遣の終了という節目を踏まえ、回収管理組合への参加の是非、繰り上げ充用の扱い、特別会計のありかたなどについて今度こそ具体的に検討し、先送りすることなく方向性を示していただくよう要望します。

次に報告第73号及び報告第74号です。 (水道事業会計決算・下水道事業会計決算)
今回の決算審査意見書においては過去に例をみないほど決算の問題点が指摘されました。地方公営企業法や施行令、その他の企業会計のルールに抵触し、経費の負担能力のある水道事業に、過大な負担をさせる決算処理を随所で行っていたことだと思います。
特に、営業費用扱いされていたソフトウェアについて資産計上すること、下水道使用料徴収負担金をはじめとした共通経費の按分問題についても質疑を通じて一定の是正の方向が明確にされました。下水道使用料徴収負担金の1億円の重複計上などが解消されれば給水原価が4円以上安くなることも明らかになりました。  上下水道事業における決算のゆがみを是正すれば、水道事業の費用が減少し、健全化比率や給水原価にも影響を与えることになります。今後の県域水道一体化参加の判断にもかかわる問題だと位置付けています。早急に是正し、実態を正確に反映した予算と決算の処理をしていただくよう要望します。

次に議案第87号です。 (子どもセンター条例の制定について)
本議案は、来年4月開設予定の子どもセンターについて、設置根拠となる条例の制定です。
まず、児童虐待から子どもたちの命を守るうえでも、基礎自治体である奈良市が児童相談所・一時保護所を持つことは大きな意義があるものと考えています。一方、全国では児童相談所がかかわっていたにも関わらず子どもの命が奪われる事件が後を絶ちません。先日も、摂津市で3歳の子どもが亡くなる痛ましい事件も発生しています。 児童虐待から子どもたちを守るという児童相談所の役割を十分に果たしていくためにも、明石市のように国の基準以上の人員配置をこれまでも求めてきました。本会議での他の議員の質問に市長は開設当初はとしながらも「通常よりも手厚い人員配置については必要なことであると認識している」と述べられました。開設当初に限るのではなく、職員が余裕をもって対応にあたることができるよう、国基準以上の職員配置を改めて要望いたします。
職員の確保にあたって、児童相談所・一時保護所併せて19名が、会計年度任用職員で配置予定であることも明らかとなりました。会計年度任用職員は、能力を実証することを条件に2回まで継続して任用できる制度で、原則最長3年の任用となります。相談業務にあたる児童福祉司はその経験の蓄積が何よりも求められる職種です。その業務の特殊性からも、正規職員の配置を求めます。
今回の条例案では、業務の具体的な内容等に関しては、規則で定めるとされております。この規則等についても、進捗や内容について議会側への報告・情報提供を要望します。

次に議案第96号です。  (一般会計補正予算・第8号)
まず新型コロナ対策のプレミアム付商品券(第2弾)発行の事業経費3億4千万円についてです。
これは新型コロナウルス感染拡大に伴い売上が減少している市内事業者の支援を目的に、今年度2回目のプレミアム付商品券を発行する経費として予算化されています。 同商品券の発行は今回で通算4回目となります。令和2年度のプレミアム付き商品券の効果検証に関する答弁で、百貨店やショッピングモール等以外の利用店舗は換金ベースで、全体の約4割にとどまることが明らかになりました。 商品券の購入は1冊約1万円、1世帯上限が5冊でしたが、実施した2回とも、1世帯の購入冊数は約4冊だったことも判明し、商品券を「まとめ買い」できる購買力のある世帯が繰り返し購入していることがうかがえます。経済的に困窮する世帯にこそ支援が必要なのに届いていません。事業者の側では中小・零細規模のところには経済効果がほとんど及んでおらず、持ちこたえられずに廃業に追い込まれるケースが生まれています。また個人事業主からは「商品券は換金が必要で、すぐに使えず大変面倒」の声も聞かれます。 緊急事態宣言も全面解除され、活用できる給付金制度も尽き果て、借金が増える一方の業者も少なくありません。このままコロナ不況が続けば、廃業倒産がさらに起きかねません。業者への支援は、幅広い業種を対象に緩やかな基準で支援金を直接支給する施策を早急に検討・具体化することを求めます。
次に「新型コロナ対策の安全安心な修学旅行対策の事業経費1,760万円」についてです。 これは小・中学校の修学旅行実施前に、児童・生徒等に対し抗原検査キットを用い感染の有無を確認し、安全安心な修学旅行を実施するための経費として予算化されています。 具体的には、小学6年生・中学3年生が修学旅行3日前を目途(めど)に抗原検査キットによる検査を行い、抗原検査で陽性の反応があった場合には保健所によるPCR検査を受検する。学校で実施するにあたっては、保健所の指導に基づき、検査を実施する部屋の感染防止対策を行う。検査当日は教育委員会事務局職員が立ち会い、学校現場教員と連携して対応する。また感染拡大予防の観点から、修学旅行に参加する児童・生徒は全員検査を受けるとしています。 実施にあたり、抗原検査の結果、陰性であっても感染を否定するものではないこと、陰性であっても従来からの感染予防対策は欠かせないこと、「陰性だから大丈夫」という安易な誤解が生まれて行動にゆるみがでるおそれがあり、市教委として保護者に対して検査の意味と限界について周知徹底すること。全校教職員にも検査についての経緯や科学的根拠について理解できるよう、周知のあり方を検討し直し徹底することを求めます。
また、何らかの理由で検査を受けられない、受けたくないという場合や、集団の中では受けられない、配慮を必要とする子どもへの対応も考えられます。子ども同士の日常のかかわりのなかでは様々な反応やリアクションがでることもあるので、その対応を学校まかせにせず、教育委員会が十分な支援をすることもあわせて求めるものです。

次に議案第99号です。 (一般会計補正予算・第9号)
まず根本的なことを指摘します。先日の市長総括質疑において、仲川市長は「奈良市の場合、ダイオキシン類の国基準は適応されない」と答弁されていましたが、適応されないのではなく、基本はあくまで3ナノグラム以下というのは変わりません。適正な処理を行う限りにおいて、最終処分場で「ばいじん」を受け入れることは可能だということです。 最終処分場から指摘を受けた文書においても「貴市環境清美工場は当センターの受け入れ基準のうちダイオキシン類の判定基準(3ナノグラム)は適用されませんが、一般廃棄物埋立処分委託契約書第28条に基づき…(中略)・・・3ナノグラムを下回るよう努めていただきますよう」にとあります。これは大目に見てくれるから、ちょっとくらいなら超えたままでも良いという意味ではありません。 こうした「依頼」という形の指摘にとどめられているのは、近い将来において、国基準を遵守できる新しいごみ処理施設の建設が前提にあるからです。緩和は永久ではありません。 市長の答弁からは、工場を延命させていくにあたり、仮に予算がかかってもしっかりと国の基準を遵守しなくてはならないという強い意思表示がありませんでした。国基準を超えるものを排出し続けることが大阪湾の環境を阻害し、また環境清美工場の職員の健康にも影響するという危機感も伝わってきませんでした。 今後は、自然環境や職員の健康被害など危機意識を持った上で、工場の維持管理に努めていただき、今回のような事態が起こることがないようよう要望します。 以上で討論を終わります。