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政策と提案
2016/3/30 更新
再議質疑(2016 年3 月30 日)


3月25日に議決された議案第25号 平成28年度奈良市一般会計予算を再議に付されたことについて、本日3月30日本会議が再開され「再議」に対して日本共産党奈良市会議員団を代表し、北村議員が質疑を行いました。
質疑については、わが党の北村議員のみで、他会派および無所属議員からの質疑はありませんでした。
質疑の後、暫時休憩。再会し、討論採決が行われました。結果は、25日に可決した「修正案」が3分の2以上の賛成があり、再議をした結果「可決」されました。


再議質疑(2016 年3 月30 日)

日本共産党奈良市会議員団

 日本共産党の北村たくやです。私は日本共産党奈良市会議員団を代表して、3 月25 日に 議決された議案第25 号 平成28 年度奈良市一般会計予算を再議に付されたことについて、 市長にうかがいます。一問一答方式でうかがいます。
 わが党は、切実な暮らしや教育の願いにこたえるために、新年度の一般会計予算について 原案に反対するとともに、予算の組み替え動議を提出しました。不要不急の市長マニフェス トの観光分野ほか関連予算の削減や東アジア文化都市事業経費の縮減など減額し、小学5・ 6 年生の市独自の35 人学級継続、高齢者入浴補助制度復活などにまわす、計2 億7,640 万 円の予算組み替えを提案しました。新年度一般会計予算についてのわが党の基本的立場は、 先日の「反対討論」や「組み替え動議の提案説明」のなかで述べた通りです。組み替え動議 が可決されなかったなか、共通性のある修正案に賛成をしました。
 市長は、修正議決された議案第25 号 平成28 年度奈良市一般会計予算について、異議が あるとして再議に付されました。その内容は、減額された12 項目について、いずれも 原案どおりに全額戻すもので、予算説明調書などで説明されていたものと同様の説明 が基本的に繰り返されていました。市民生活に大きな支障がでると述べておられまし たが、市民の暮らしとの関係で具体的にどんな影響がでるのか。お答えください。一 問一答方式でうかがいますので、1問目をおわります。

 2問目以降は自席より行わせていただきます。
 減額項目について、市民の暮らしとの関係での影響を具体的にお聞きしましたが、本市の 将来を見据えた取り組みが停滞すると言われるだけで、具体的な影響は述べられていなかっ たと思います。わが党は予算組み替え提案を行ないましたが、自治体の役割として市民の暮 らし応援を最優先にすべきであり、基本的な考えは「組み替え動議の提案説明」のなかで述 べさせていただきました。
 新斎苑整備事業についてもふれられました。以下、再議に付された項目のうち、「第8 新斎苑整備事業のうち、すでに債務負担行為を設定し、業務委託を行っている環境影 響評価業務委託2,900 万円以外の経費4,800 万円の減額及び地方債2,800 万円の減 額並びに新斎苑アドバイザリー業務委託に関する債務負担行為を設定しないことに ついて」うかがいます。
 修正議決した中に、平成27 年度の債務負担行為分を除く新斎苑建設計画関連予算の減額 が含まれています。わが党の予算組み替え提案でも、減額項目に、同様に、新斎苑建設関連 予算をあげています。わが党は組み替え提案の説明で、新斎苑関連予算について、次のよう に述べました。

 「わが党は老朽化した新斎苑の移転建設は喫緊の課題と考えますが、現在の移転計画地につ いては大前提となる住民合意が図れていません。建設予定地周辺は、土砂災害や土石流、 地滑りなどが歴史的に発生しています。奈良盆地東縁断層帯で地震が発生したときに予想 される影響や危険性について詳細な調査を行ない、その資料を全部公開し市民に説明をつ くすべきです。建設予定地の近接地では地滑りを防ぐための対策が今も進められており、 建設計画に対する近接地住民の懸念や不安は十分に理解できることであり、住民の不安を 市の責任で払拭しない限り、現計画地で推進する新たな予算化はすべきでないと考えま す」

 新斎苑建設の内容や場所を決め、予算化し、執行する権限は、市長部局にしか与えられて いません。市民から出される意見を聞き、納得を得る対策を講じたり、不安や疑問を払拭す るのは市の責任で行われなければならないものです。  わが党は老朽化した新斎苑の移転建設は喫緊の課題と考えています。これは議会も 理事者も共通の認識であると思います。しかしながら、現在の移転計画地については 大前提となる住民合意が図れていないと考えますが、市長にはその認識がありますか。

 新斎苑建設事業をすすめていく前提として、計画地周辺住民の不安を払しょくし、理解い ただくことが重要と述べられました。これは、現時点において、大前提となる住民合意は図 れていないことはお認めになったと理解しました。昨日の市長の再議の理由説明のなかでは、 計画地周辺の住民のなかに反対の声があることにもふれておられたと思います。
 そこで、昨日の市長の再議の理由説明に関わってお聞きします。そのなかで、「一 部の住民から賛成の意見をいただいており心強く思っている」「一筋の光を見出す思 い」などと述べられました。それは反対する人が悪者であるように聞こえ、私は、住 民のなかに分断をもちこみ、住民の理解や協力をより難しくする発言であったと思い ます。市長にはその認識がありますか。

 先ほど市長は、新斎苑建設事業をすすめていく前提として、計画地周辺住民の不安を払し ょくし、理解いただくことが重要だと述べられました。本当にそう考えるのであるならば、 理解をいただいている一部の地元住民の皆様に対するものだといって、あの場でそうした発 言をわざわざ行なうことは控えるべきではありませんか。そうした態度や言動が行政不信を 上塗りすることになるし、住民のなかに分断をもちこみ、みずから、住民の理解や協力をよ り難しくしていることを指摘しておきます。

 私たちは、現計画予定地や周辺地域について、その地域の特性を十分にふまえた安全面で の市の認識やとりくみについても取り上げてきました。
建設予定地や周辺地域一帯は、土砂災害や土石流、地滑りなどが歴史的に発生しています。  また、高樋断層や三百断層など、奈良盆地東縁断層帯にも近接しています。私は予算特別委 員会の新斎苑集中審査で、大規模な地震、局所的な集中豪雨が発生した際の影響について、 具体的に質問をしました。
 建設しようとする建物についても、安定した岩盤までは約20〜30 メートルの礫(れき) 層に建設されることになっていますが、近くにがけ崩れがあることを示す土地の形状がある こと、またこの地域は日本で一番広く分布する「風化花崗岩類」の山地で、豪雨などで土砂 災害が起こりやすいとされること、この場所が急斜面であることは、市の調査でも明確にな っています。
 また、私たちが、地質や地形、水や災害など専門家の方々に調査をお願いしたなかでも、 湧水(ゆうすい)がある場所に盛土して建設することは非常に危険であると指摘がありまし た。また、市が行なった調査レポートに添付された図表において、計画地北側に岩井川と並 行する「断層」が記載されていますが、そこに大規模な盛土を行なうとしていることについ ても危険性が指摘されており、安全性が保障されているとはいえないと考えます。
 そのほかにも、建設計画地内の地形や地質はまれな状態にあること。すなわち、表層は水 を浸透しやすく、少しの雨なら、直ちに浸透し流れないため、地下に浸透し、地下水となり 周辺の湧水となっていると思われる。しかし、斜面が急であったり、大雨になると浸透しき れず表面を流れることになるが、そうなると表層が浸食され、崩れたり谷を形成する。計画 地北側の崖地はその特徴をよく表していると指摘がありました。その山は荒れており、そこ を広範囲に切土や盛土をすることの影響分析は欠かせないこと、市が行なった地質状況の調 査レポートで出されている「移動可能渓床堆積土砂量の試算結果」の評価の信頼性が低いこ と、計画地一帯の断層の分析が必要であること、橋梁の構造上の問題など、現在の計画地で 建設することには十分な検討を要すると、多くの意見が出されました。
 さらに、岩井川ダム建設時の調査記録から、岩井川の谷底に破砕帯幅9 メートルのしっか りした断層があることも確認されており、そのこととの影響分析が必要なことや、市の行な った調査レポートからも、高樋断層は東側に傾斜している逆断層であり、地表面で確認され る位置から東にむかって地中深くに伸び、建設計画地の中央部付近の深さ約340 メートルに 届いている可能性があることも推定されます。
 私は、集中審査の質問で、建設予定地及び周辺地域で土砂災害や土石流、地滑り等 の範囲や程度など、どのような具体的影響がでると想定しているのか。根拠を明示し て説明いただきたいと求めましたが、担当課からの答弁は「大規模な地震、局所的な 集中豪雨が発生した際の被害想定は研究していない」というものでした。そんな状況 で、現計画地で推進する新たな予算化は、市民の命や安全を守る立場から問題がある と考えますが、市長の所見をうかがいます。

 市の調査レポートの土石流危険渓流流域調査についても、専門家の方々から以下の指摘が あったことを紹介しておきます。この渓流の下部にかなりの大きな扇状地(鹿野園、春日苑) や台地があるが、それはこれだけの扇状地がつくるだけの土石流が過去に繰り返し起こった ことを証明している。また、それはおそらく調査された流域だけではなく、鉢伏山やもっと 上流部分で発生した土石流などがもとになっているのであり、せまい範囲に調査を限定して は誤りをうむことにつながること。さらに、流動可能量は、そのままであることと、少しで も人工的な改変や手が加わったのでは飛躍的な数値の変動があること。調査区域にはアクセ ス道路の計画あるが、その検討や反映がされていないとの重要な指摘がありました。やはり、 安全性の点で問題があることを述べておきます。

 地元の住民から、現計画地での建設に疑問や不安の声が出されており、先日の本会 議で、現計画の白紙撤回を求める請願書について、住民の思いを尊重すべきと請願採 択されました。別の近接地住民からも、建設による安全性の問題などが強く示され、 住民合意がない限り計画強行は認められないと請願書が議会にだされ、委員会付託さ れました。市長は昨日、こうした住民の不安や反対の声を重く受け止めると述べられ ましたが、それでは具体的に今後どう取り組むのか。お答えください。

 最初にも述べた通り、新斎苑建設の内容や場所を決め、予算化し、執行する権限は、市長 部局にしか与えられていません。市民から出される意見を聞き、納得を得る対策を講じたり、 不安や疑問を払拭するのは市の責任で行われなければなりません。改めて強調しておきたい と思います。

 さいごに、新年度予算案についての市長の認識についてうかがいます。
 予算編成の権限は、言うまでもなく首長にしかなく、自らが提案している予算案は市民生 活全般に及ぶものであることを十分にふまえ、議会での論議、慎重審議を行なって、議会の 議決をへて執行されるものです。
 わが党は市長から提案された案件について、本会議や委員会で質問し、問題点を質したり、 必要な提案など行なってきました。議会は多様な市民の意見を反映させる場であり、熟議し て、合議で賛否を決します。
 今議会、議会審議をつうじた結論として、節目節目で、新年度予算案についても議 会の意思が示されてきています。予算審査特別委員会では、新年度予算原案は否決、 先日の本会議で減額修正可決と議会の意思が示されました。それは重く受け止めると ともに、市民生活全般に影響が及ぶことを十分に考え対応する責任が市長にはあると 思います。新年度予算原案が予算審査特別委員会では否決、先日の本会議で減額修正 可決とされた意味を市長はどのように受け止めておられますか。

 再議にふされたことは市長の判断になりますが、それは可決した議決を覆そうということ であり、市民生活に重大な影響を自ら作り出していることの自覚をもっていただきたいと思 います。議会の審議をふまえ、先に述べたとおり、節目で議会の意思が示された段階で、そ の意思をもっと重くうけとめ判断されるべきでなかったかと思います。
 予算の修正議決したことに市長が再議を付したことで採決要件が変わり、仮に否決 となれば、予算原案が採決の対象となります。これまでの経過から、それが過半数賛 否で否決され、暫定予算となれば、市民生活影響がでることは避けられません。しか しそれは、市長の自らのこれまでの行為が招いた結果であるという認識はありますか。

 予算案の確定がここまでずれこもうとしていることについて、市長としての責任の認識が 希薄であると思います。このことを最後に指摘して質疑をおわります。ありがとうございま した。