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政策と提案
2022/6/15 更新
2022年奈良市議会6月臨時会 討論(22年6月15日)


2022年6月定例会 討論(22年6月15日)

日本共産党奈良市会議員団の北村たくやです。私は会派を代表して討論を行います。
いま議題とされている案件のうち
議案第49号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについて に反対し、
議案第57号 奈良市学校給食センター条例の一部改正について、および、
議案第60号 令和4年度奈良市一般会計補正予算(第2号

の2議案には、意見を付して賛成します

なお、議案第60号は、原案に賛成し、修正案には反対します。また残余の議案には賛成します。

以下理由を述べます。

 まず、議案第49号には、反対します。
 これは、国の地方税法の改正に伴う条例改正で、商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の負担調整措置の見直しをするものです。
具体的には、住宅用地以外の商業地等における課税標準額の上昇幅を、令和4年度に限り、本来の5%でなく2.5%にするもので、上昇幅の緩和措置が講じられてはいますが、同時に、令和3年度にコロナ対策として講じられた固定資産税の据え置き措置がなくなるため、対象となる市民には増税となります。
国の法改正によるものではありますが、コロナの影響で市民の暮らしがまだまだ大変な状況にある中、このような改正には反対です。

 続いて、以下の2議案には、意見を付して賛成します。

 最初に、議案第57号についてです。
これは、都祁学校給食センターが給食を行う対象地域を拡大するとともに、業務の一部を選択して実施できるよう条例改正するものです。
この間、東部地域の学校給食は、調理員不足やコスト面から見直しがすすめられ、2019年3月末には月ヶ瀬学校給食センターの閉鎖、2020年3月に田原小中学校給食室の閉鎖、2021年3月には興東小学校及び興東館柳生中学校給食室の閉鎖と、身近な給食センターや「自校方式」の給食調理が廃止となりました。
それに代わり、都祁学校給食センターで調理した給食を、月ヶ瀬小中学校、田原小中学校へ配送する。また柳生小学校で調理された給食を、興東小学校と興東館柳生中学校へ「親子方式」で配送し、その配送には都祁学校給食センターの車を使って行うという見直しがされてきました。
本来、学校給食は「自校方式」による調理が必要と考えますが、都祁学校給食センターを中心とした給食が、当該の地域では、体制をとってすでに進められてきているとのことであり、今回の条例改正はやむを得ないと判断します。引き続き、安全・安心の給食へ努力を求めます。

 次に、議案第60号の補正予算についてです。いくつかの項目に関してのべます。

まず、小中高等学校における電気料金1億6,200万円についてです
これは、一般競争入札で落札し、契約した新電力事業者が、電力小売り事業の廃止を発表したことから契約を解除、電気供給を保障することが法で定められている関西電力に契約を切り替えたことによって必要となった経費です。
本年3月から新電力事業者から電力調達を開始し、わずか2カ月で契約解除となりました。ウクライナ情勢の悪化等が原因とされています。「学校教育への影響はない」との答弁が、補正予算等特別委員会でありましたが、学校は子どもたちの教育や、地域の避難所としての機能も有しており、電力の安定供給が欠かせません。今回の件を教訓に、今後の電力確保については、より慎重に検討されることを求めます。

 関連して、小中学校校舎への太陽光発電設置調査費用3千万円についてのべます
同費用は、太陽光発電設備を学校校舎の屋根に今後設置をするために、荷重(かじゅう)による耐震構造への影響を調査するものとされています。特別委員会の質疑では「設置可能な校舎には、太陽光発電設備の設置をすすめていく」、また「環境教育に関する内容の充実にも期待できる」と答弁がありました。
「気候危機」とよぶべき非常事態が各地で起こっている中、無駄なエネルギー需要を削って、エネルギー効率の引き上げや省エネの徹底を図ること、また再生可能エネルギーを本格的にかつ大量に導入することは、地球の環境や資源にとって持続可能な社会を目指す上で重要と考えます。その方策として、学校校舎に太陽光発電を設置する方向は一定理解できます。
一方で、市全体の温室効果ガス削減などに、今回の校舎への太陽光発電設備設置がどれだけ役割を果たせるのかや、調査の結果により設置が困難な学校への対応、発電設備を将来廃棄する際の課題など、検討を要する事項も少なくありません。小中学校の校舎に太陽光パネルを設置することだけを目的にするのではなく、環境を守る課題として、さらに検討されることを求めます。

 生活応援プレミアム商品券発行費用5億円についてです
今回のプレミアム商品券発行は、地方創生臨時交付金を財源に、1万3千円の商品券を1万円で販売しプレミアム分は3千円。また一世帯5冊を上限に、15万冊販売しようというものです。
本会議や特別委員会で、同商品券発行の目的は「市民生活の応援」とのべられました。そうであるなら、より多くの市民が使いやすいよう工夫・改善をすべきです。わが党が、販売価格を思い切って引き下げること、商品券を使える登録業者の業種を広げ、市内の建設関連や電気工事関連等にも使えるよう対象を広げる工夫を求めるなか、市長から取扱店舗に関して、様々な業種の事業者の参加へすそ野の拡大に努力すると答弁がありました。販売価格の引き下げも含め、より多くの市民が使いやすい改善を徹底して行うよう求めます。
 コロナ禍における物価高騰で、市民生活の困難がいっそう深刻になっています。
住民税非課税世帯には、国による給付金事業が実施されていますが、課税・非課税ボーダーラインの所得で、ギリギリ課税となっている方は給付対象から外れてしまいます。市の多くの制度は「住民税非課税」が基準とされていますが、その基準から外れることによる経済的負担も重く、そういった方への支援策が必要です。
支援の方法についても、プレミアム商品券の発行以外にも、例えば葛城市のように期限を設けて給食費を無償にしたり、以前に行った水道基本料を一律で減免するなど、市の制度や事業を活用した方法も考えられます。国の動向も的確にとらえ、困っている方に支援が届くよう、支援のあり方の検討を早い段階から行い深めるよう求めるものです。

 子育て世帯生活応援商品券の配布費用7億6,254万円についてです
同費用は、国の「子育て世帯生活支援特別給付金」と合わせて、「コロナ禍における物価高騰に伴う生活応援」として地方創生臨時交付金を財源に、子育て世帯に市独自の上乗せを行い、国の給付金を受け取る世帯には「児童1人あたり3万円分の商品券」を配布、その他の世帯には「児童1人あたり1万円の商品券」を配布しようというものです。
 先ほど指摘した、課税世帯・非課税世帯で線を引いて配布するやり方がとられていますが、ボーダーラインをほんの少し超えた子育て世帯の方々から、やり場のない声が寄せられています。
また、今回3万円分の対象となっている世帯の方からも、「一時的な給付では毎月の赤字補填に回り、たちまち暮らしが追い詰められる」と悲痛な声が出されています。子育てにかかる費用は、本来、国にも自治体にも継続的な支援が求められています。
今回提案されている市独自の子育て世帯への商品券配布に関して反対するものではありませんが、子どもを中心において考えるなら、消費ありきの発想ではなく、コロナ禍で感染にさらされ、ストレスを抱える全ての子どもに、同額の支援をすべきです。
継続的な子育て支援についていえば、憲法第26条では、「ひとしく教育を受ける権利」と「義務教育の無償化」を謳っています。コロナパンデミックだけでなく、様々な要因で急激な物価高騰が起こっているいまこそ、義務教育にかかる負担、とりわけ学校給食の無償化は早急に実現されるべきです。
 2017年に文科省が行った「学校給食無償化の実施状況の調査」では、小中学校ともに完全無償化している自治体は、76自治体ありました。また愛知県津島市は、コロナ対策として、地方創生臨時交付金を財源に、今年9月から来年3月までの時限的ではありますが、小中学校、保育所、幼稚園、認定こども園のすべてにおいて、給食を完全無料化すると発表しました。先にもふれた通り、同交付金を財源に、学校給食の無償化を実施しているところは津島市だけではありません。学校給食無償化は、本来、国の責任において実現されなくてはなりませんが、その実現につなげるためにも、他の実施する自治体同様、本市でも独自に学校給食無償化に踏み出す真剣な検討を行うべきと意見するものです。

 さいごに、学校への生理用品の配置についてです
補正予算には960万円の費用が盛り込まれました。直接的には生活困窮者等への支援とされていますが、ジェンダー平等の視点を貫く取り組みとしても重要な動きと考えます。
この予算措置により、県立学校を除く市内のすべての小中学校および高等学校に通う、小学4年生以上の女子児童・生徒を基準に、必要とするすべての児童生徒に生理用品を配布できる数量を見込める旨の答弁がありました。
今後の進め方として、養護教諭の先生方など関係者と意思疎通をとりながら、どの子どもにとっても必要なときに利用しやすい環境をつくることをめざすこと、また児童生徒にそのことの広報・周知を丁寧にかつ積極的に行うよう求めます。そして、これを一つの契機として、生理に関する知識や理解を深め、子どもの年齢・発達に即した、科学的な「包括的性教育」を導入し位置付けて取り組むよう要望します。

以上、討論とします。